オスグッド・シュラッター病とは

オスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病は、アメリカの医師Osgoodとドイツの医師Schlatterによって報告されたため、オスグッド病やシュラッター病と呼ばれることもありますが、正式にはオスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病と呼ばれています。

下肢の筋肉の中で、最も大きな太ももの前の筋肉 (大腿四頭筋)は、膝蓋骨を通して膝を伸ばす力として働きます。スポーツなどで膝を伸ばす力の繰り返しにより、大腿四頭筋が膝蓋伳付着部を介して脛骨粗面を引っ張る力がかかるために、脛骨粗面の成長線に過剰な負荷がかかり、成長軟骨部が剥離することで生じます。(図1)

発育期の子どもは特に、脛骨粗面の骨が急激に軟骨から成長する時期であるため、この影響を受けやすくなります。

特に発症しやすいスポーツは、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどがあります。

骨の状態

▲図1

代表的な症状

10~15歳くらいの活発な発育期の男子に起こりやすいのが特徴です。

症状は、ひざのお皿の下の骨(脛骨粗面)が徐々に突出してきて、運動時の痛みを訴えます。特にボールを蹴る、ジャンプなどの動作時に痛みが出ます。時には、赤く腫れたり、熱を持ったりすることがあります。

運動や疲労によって痛みが増し、休んでいると痛みがなくなります。また通常の歩行では、痛みを感じないことが一般的です。

検査と診断

診断は、前述のような特徴的な症状と脛骨粗面の圧痛や隆起である程度可能ですが、レントゲン(X線)検査を行うことで確定します。(図2)

また、スポーツ歴(スポーツの種類、練習量など)についても、問診で詳しく聴くことも重要です。

レントゲン検査

▲図2

治療と予防

発育期の一過性の病気で、成長が終了すると多くは治癒するため、治療は保存療法が基本となります。

痛みが強く、脛骨粗面に局所の炎症所見が見られるときは、スポーツを控えることが大切です。また、脛骨粗面を刺激するような動作(正座など)も控える必要があります。

症状を強くさせないためには、大腿四頭筋のストレッチング(図3)やアイスマッサージなどを行い、痛みが強いときは、内服や湿布をします。まれに保存療法に抵抗し、遊離骨片の刺激による炎症が強い時には、手術的に骨片を摘出することがあります。

痛みがなくなれば、スポーツは可能です。

発症後3~6 ヵ月はスポーツをすると症状が強くなるので、スポーツの前後にストレッチングやアイスマッサージ、ベルトの装着(サポーター)などをした上でスポーツをすることをお勧めします。

予防

▲図3

最後に

オスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病は、スポーツをしている発育期の男子に多いスポーツ障害の一つであり、運動時の脛骨粗面の痛みがあれば、まず疑わなければならない疾患です。

保存療法で多くは治癒するため、早い段階での検査・診断を行い、適切な対処が必要です。

当院ではアビスパ福岡のチームドクターも行っており、スポーツ整形にも力を入れています。スポーツ障害でお悩みがあれば、一度ご相談ください。

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