スポーツなどで強い力がかかることにより生じる筋肉の断裂です。部分的に断裂することが多いですが、まれに筋肉が完全に断裂してしまうこともあります。筋肉が伸ばされた状態で、筋肉が収縮し無理に引っ張られようとすることで生じ、急に走りだす、突然止まる、ジャンプして着地するなどの動作で起こります。
特に、ハムストリングス(大腿後面の筋肉)や大腿四頭筋(大腿前面の筋肉)、下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)が好発部位です。
検査と診断
診断には下記の3点についてのチェックが重要です。
- 伸ばしたときの痛み(ストレッチ痛)
- 押したときの痛み(圧痛)
- 力を入れたときの痛み(抵抗時痛)
検査では主にMRI検査やエコー(超音波検査)などの画像検査を行います。特にMRI検査を行うことによって、筋肉が損傷している部分を確認することが可能で、同じ肉離れであっても損傷している部分や出血の程度により重症度を判断する目安になります。
治療法
肉離れが起こったら、直ちにスポーツを中止してRICE処置と呼ばれる応急処置を行います。
安静(Rest)
添え木やテーピングをして、損傷部位を固定します。
冷却(Icing)
氷を入れたビニール袋やアイスバッグを患部に当てて冷却します。15分程度冷却して患部の感覚がなくなってきたら外し、痛みが出てきたら冷やすことを繰り返します。
圧迫(Compression)
腫れそうな部位にスポンジやテーピングパッドを当て、テーピングや弾性包帯で軽く圧迫する程度に固定します。
挙上(Elevation)
台などを用いて患部を心臓より高い位置に上げるようにします。
急性期(受傷後3~5日)が過ぎたら、リハビリテーションを主とした保存療法によって治療を行います。まれに損傷部位によっては、手術療法が必要となることがあります。