運動会などで久しぶりに全力疾走したときや、野球・サッカーなどのスポーツを頑張ったときに受傷されることが多い外傷です。
受傷したときはふくらはぎから足首(足関節)の後ろ辺りを「後ろから蹴られた感じ」、「バシッと棒でたたかれたような感じ」と表現される方が多く、受傷直後は歩くことはできますが、つま先立ちができない、うまく歩けないなどの症状が出てきます。
けがをした場所に痛みや腫れを伴うことが多いのですが、程度は様々です。皮下出血を伴うことがよくあります。
検査と診断
典型的なアキレス腱断裂であれば特別な検査は必要でなく、問診と簡単な診察で診断は可能です。
診察としては、腫れや皮下出血の有無・断裂部の陥凹(へこみ)を触れること、ふくらはぎをぎゅっと握ってもつま先が下に動かない(腱が繋がっていればつま先は下の方に動きます)ことなどで可能です。
レントゲン検査やCT検査は、主に骨を見る検査なので、診断には必ずしも必要ではありません。簡便な検査としては超音波の検査があります。MRIは必ずしも必要ではありませんが、陳旧例にはMRIが役立ちます。
治療法
治療法には手術(断裂した腱を縫合)とギプス固定や装具を用いた保存療法があります。最近では保存療法が増えつつあるようですが、当院では基本的には手術を行っております。
陳旧例は手術を行った方が良いでしょう。断裂したところの隙間が大きく腱の断端同士を縫合することができないので、手術自体は多少難しくなりますが、アキレス腱を再建することで歩行しやすくなります。
手術後は5週間程度のギプス固定を行います。装具はヒールアップした長靴の様なもので、最初はかなり高くしておりますが、徐々に踵の高さを低くして行きます。最終的には踵の高さが無くなります。
その後リハビリを行います。かなりふくらはぎの筋肉が落ちていますし、また足関節の動き(特に背屈)がやりづらくなっているので、それらを改善するために行います。
スポーツ復帰は5~6か月後です。手術をしたからアキレス腱はより強くなるわけではありません。やはり再断裂が心配です.再断裂は保存療法に多いと言われています。手術では2~3%、保存療法では10%程度といわれています。
日常の対策
いきなり運動するのではなく、きちんと準備運動をやりましょう。「昔取った杵柄」が危ないのです。
頭のイメージではできそうなことでも、体は正直で衰えています。ですからいきなりエンジン全開での運動は避けた方が良いでしょう。
当院では手術を中心に治療を行っております。早い退院を希望されるなら早く、ある程度の期間リハビリまで必要であれば、できるだけ対応するように心がけています。