腰椎椎間板ヘルニアとは
椎間板とは、神経(脊髄)の前方(おなか側)にあるクッション成分で、周囲の比較的硬い組織である「線維輪」とその中身の軟らかい組織である「髄核」に分けられます。椎間板ヘルニアとは、重たい物を持つなどの外力により線維輪に亀裂が入り、そこから髄核が線維輪の外に飛び出すことを言い、飛び出した髄核が神経を圧迫することにより下肢痛を生じるのです。
また、腰椎椎間板ヘルニアは若年者に多いイメージがありますが、高齢者でも生じることがあり、中高齢者に多い疾患である腰部脊柱管狭窄症に合併することもあります。例えば、もともと下肢のしびれがあったが、ある時期から突然痛みに変わった、という経過であれば、狭窄症にヘルニアを合併している可能性があります。
代表的な症状
腰痛と下肢痛(一般的にいう坐骨神経痛)がよくみられる症状です。特に、
- ある日またはある時期から「突然」痛くなった!
- 「常時」しびれや痛みがある!
- 「重心をかけると」痛みやしびれがひどくなる!
などの特徴があれば、腰椎椎間板ヘルニアである可能性が高いです。
また稀ですが、下肢の麻痺(足首をそらせないなど)や膀胱直腸障害(尿意を感じない、頑固な便秘など)を生じる場合もあります。
検査と診断
問診と診察が非常に重要です。先に記載した通り、問診で「突然」や「常時」「重心をかけると」などのキーワードが出てくれば、腰椎椎間板ヘルニアを積極的に疑います。
診察では、筋力(力比べ)、触覚(筆で触って鈍くないか)、反射(ハンマーで叩いて)を調べます。筋力や触覚は自覚症状がなくても診察で明らかになる場合があり、それが診断の一助になります。
また、「tension sign(テンションサイン)」と言われる、膝を伸ばした状態で下肢を持ち上げようとすると電撃痛が下肢に走る症状を確認します。それが出れば、ヘルニアである可能性が高くなります。
以上の問診、診察を踏まえてMRIを撮影します。MRIでは、椎間板の変性(傷んでいる程度)、ヘルニアの有無と部位、神経の状態を確認でき、問診、診察と画像が一致すれば確定診断になります。また稀ですが、「外側ヘルニア」と言われる特殊な部位にヘルニアが突出していることがあり、それもMRIで診断することができます。
ヘルニアが小さくMRIで診断がつきにくい場合や、MRIで外側ヘルニアを疑う場合は、脊髄造影検査や椎間板造影検査を行い、診断を確定することもできます。
治療方法
まず、原則として椎間板ヘルニアはその多くが退縮すると言われています。要はその退縮するまでの期間、症状をいかに取るかということが治療の目標になります。
保存治療
保存的な治療としては、安静やコルセット、内服薬、ブロック注射などがあり、特に内服薬は、神経痛に対する薬が近年発売され、その効果は上昇しています。内服薬でも効果が乏しい場合に、仙骨裂孔ブロックや神経根ブロックなどの注射を行います。
手術治療
脊椎疾患は原因を検索・追究することが非常に重要です。問診、診察を丁寧に行い、画像所見との適合性を踏まえ、診断を確定するように心がけています。