中年期以降によくみられ、テニス愛好家に生じやすいのでテニス肘と呼ばれますが、実際はテニスをしない方でも肘の外側に痛みが出る比較的によくみられる病気です。フライパンを振って痛みが出だしたり、最近ではパソコンをしていて痛みが出だしたりする方もいます。
ものをつかんで持ち上げる動作やタオルを絞る動作をすると、肘の外側から上腕にかけて痛みが出現します。痺れを伴わないのですが、疼きを痺れのように感じる方もいます。多くの場合、安静時の痛みは強くありません。
病態や原因については十分に分かっていませんが、年齢とともに肘の腱の質がやや低下してくるのに加え、無理が加わると痛みが生じてきます。主に短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)の起始部が肘外側で障害されて生じると考えられています。
このため、手首を伸ばすと痛みが出ますが、手首を曲げてもあまり痛みが出ないのが特徴です。(このため雑巾を絞る時に痛みが出ますが、逆に戻す時には痛みを感じません。)
検査と診断
レントゲンでは異常がないのが特徴です。MRIでも重症例を除けば通常変化がありません。診断は、「筋肉の付着部を抑えて痛みがあるか?」「指や手首を伸ばす筋肉に力を入れることで痛みが誘発されるか?」で診断されます。
以下が代表的な刺激試験です。
1. Thomesen(トムセン)テスト
検者は手首(手関節)を曲げるようにして、患者さんには肘を伸ばしたまま、検者の力に抵抗して手首(手関節)を伸ばしてもらう。
2. Chair(チェアー)テスト
患者さんに肘を伸ばしたまま手で椅子を持ち上げてもらう。
3. 中指伸展テスト
検者が中指を上から押さえるのに抵抗して、患者さんに肘を伸ばしたまま中指を伸ばしてもらう。
治療法
まずはスポーツや負担の原因と思われる作業をひかえましょう。パソコンで痛みのある方は、椅子を少し高くしてあげると手首をあまり伸ばさずに行うことで改善が得られることもあります。手首や指のストレッチはこまめに行いましょう。
テニス肘用のバンドを使用することもあります。(通常、病院で処方されますが、薬局やスポーツショップにもおいています)
湿布や消炎鎮痛剤の塗り薬も効果があります。湿布はいわゆる冷湿布で結構です。(冷湿布は冷やすためでなく薬が患部からしみ込んでいくものです。最近の湿布は比較的強いものが多く、効きも良くなっていますが、長時間の使用は湿布まけの原因となり注意が必要です。また日光にあたるとかぶれるものもあるので注意しましょう)
これでも良くならない場合は注射の出番です。痛みのある箇所にステロイドの注射を行います。注射は非常によく効くのですが、痛みが再発することも多く、症状が強い時のみに行うことが望ましいです。また注射を頻繁に行うと副作用の問題もあり、間をあけて行う必要があります。