半月板とは
膝関節は大腿骨と脛骨の間に関節面を形成しています。お互いの骨の表面には関節軟骨が被っており、スムーズな関節の動きと荷重機能の役割をなしています。その軟骨の間に内側と外側に線維性軟骨よりできた半月板がちょうどクッションの役目をなしているように存在しています。形状は半月の形をしており、荷重機能だけではなく安定性にも関与しています。
また数%の頻度で、外側半月板が生まれつき形状が半月ではなく、大きい円盤の形をした円板状のものがみられることがあります。これは構造的にも弱く損傷されやすい傾向があります。
どのようにして損傷するのか
スポーツ中に膝をひねったり、あるいは日常生活のなかでもつまずいたり、正座やしゃがみこみから急に立ち上がる際や、あるいは階段より転落してひねったりすることでも、大腿骨と脛骨の間で半月板がはさまれて損傷します。円板状半月板は、はっきりとした原因がないのに損傷することもあります。
また、関節軟骨の老化現象による軟骨の変性や摩耗による変形性膝関節症がみられる高齢者では、半月板も老化現象で変性しており、外傷がないのに損傷されて痛みやひっかかりを生じることがあります。
症状
痛み(内側半月板の損傷であれば内側にみられる)と、膝の動きでひっかかりや運動制限(膝が十分に曲らないとか完全に伸ばせない)がみられます。また膝の屈伸で損傷された半月板による雑音が聞かれることがあります。症状が進行すると関節水腫をおこしてきます。さらに大腿部の筋肉の萎縮がみられてきます。
診断
臨床症状でおおよそ半月板損傷の診断は可能ですが、MRI撮影にて90%以上の確率で診断ができます。MRIは侵襲がなく痛みもありませんが、撮影に1時間ほどかかり、予約が必要です。通常のX線では半月板は見ることはできず、合併する変形性関節症の有無を調べるぐらいです。
治療法
画像上半月板に損傷がみられても、症状があまりたいしたことがなければ、投薬や安静で症状が軽快する可能性はあります。しかし症状が続き、またはいったん良くなっても再発する時には、関節鏡を使用した内視鏡手術が行われます。これは通常7~10日の入院が必要で、腰椎麻酔で行います。
手術中は意識がありますので、テレビに膝の様子が映し出されますので説明を聞きながら手術を受けることができます。手術は通常損傷している部分のみを切除する半月板部分切除術が行われますが、正常の損傷されていない部分は残します。また若い人で損傷部位が半月板の辺縁部で条件が良ければ、半月板を縫う修復術が可能です。
ただし半月板修復のときには前十字靭帯損傷が合併していないかをチェックすることが大切ですし、縫合した後は2~3週間ギプスによる固定が必要であり入院も長くなります。
入院費用の概算は以下の通りです。
半月板切除術:10日間入院・保険3割負担で約10万円
術後の経過
手術後翌日から松葉杖を使用して歩けます。術後に手術の影響で一過性に膝に水がたまることがあります。またクッションである半月板を切除しますから、長期的にみると関節軟骨の負担が徐々にみられてきます。
そこですでに関節軟骨の変性がある人では、術後に足底板(荷重ストレスを減らすためのもので靴の中に入れて使用)を装着したり、ヒアルロン酸(軟骨の再生を助ける作用がある薬)の関節内への注射をすることがあります。スポーツ復帰は、痛みや水腫がなければ術後2ヶ月前後で許可しています。