三角線維軟骨複合体とは聞き慣れない言葉だと思います。手首の関節(手関節)は橈骨と尺骨という2本の骨が作る土台の上にいくつかの小さい骨(手根骨)が組合わさってできています。橈骨と尺骨を連結しさらに手根骨を支えて手首がスムーズにうごくための働きをする靭帯のようなものが三角線維軟骨複合体です。
検査と診断
ゴルフ、テニス、野球など手首を捻る動作があるスポーツをする時に強い力が手首にかかったり、転んで手をついて手首を捻ったりすることで三角線維軟骨複合体をいためると、手首の動きが不安定になり炎症を起こして、痛みがでるようになります。
三角線維軟骨複合体損傷の診断は最初に述べた症状や、手首を小指側に傾けて捻る動作をすると痛みがでる事などの症状で、推測できますが、確実に診断するためにはMRI検査が大事です。
通常のレントゲン写真では三角線維軟骨複合体は写らないので、レントゲン写真で骨に異常がみられないために、捻挫として診断されてしまうことも多くみられます。
治療法
治療は痛みがでて2週から3週ぐらいまでであれば、まず保存的治療(手術ではない治療)から行うのが一般的です。ギプスやしっかりしたサポーターで手首をきちんと固定することで、多くの場合治癒します。固定期間は1か月から3か月必要になります。痛みが強い場合、炎症をおさえる局所麻酔剤とステロイドを混ぜた薬剤を手関節に注射することもあります。
しかし、診断がおくれて数ヶ月経過しているような場合や保存療法で症状がよくならない場合には手術による治療をすすめています。手術は手関節鏡という手首の関節専用に作られた内視鏡を使用して、炎症を起こしている部分をきれいにしたり、損傷している三角線維軟骨複合体を縫いなおします。
当院では、捻挫として治療されたものの症状が良くならないとのことで紹介されてみえる患者さんも多く、三角線維軟骨複合体損傷の手術は日常的に行われています。捻挫だと思っていたのになかなか治らない方は一度ご相談ください。